「一人の少女の話」


 それは、私の髪が長かったころの話。

 たまにしか帰ってこない兄を待ちながら、森で魔物と遊びながら過ごすのが私の毎日で、私の全てだった。

 寂しくないと言ったら嘘になった。でも、それでも私は『幸せ』だった。

 永遠に続くと思ってた。

 いつか終わってしまうなんてあたり前のこと、考えたことも無かった。

 終わりは突然だった。


 それは、私の髪が短くなった時の話。

 男の子に。なりたかった。

 もし私が男の子だったら、兄さんと一緒に旅が出来てたかもしれない。

 兄さんは・・・・・・死ななくてすんだかもしれない。

 でもそれはもう今となってはどうにもならないこと。

 私にできること。それはアイツを倒すこと。

 兄さんの命を・・・・・・私の『幸せ』を奪ったアイツを。

 私の終わりの見えない旅の始まり。


 それは、短くなったその髪がほんの少しだけ、伸びたころの話。

 彼に、会った。

 ちょっと困った事も多かったけど。一人じゃないことがとても嬉しかった。

 彼は私を守ってくれた。

 彼は仲間、だった。安心できた。

 私が一大決心で言った言葉を、彼は一言で片付けて見せた。

 「それがどーした」

 それは新しい『幸せ』が生まれた瞬間だった。新しい『幸せ』に気付いた瞬間だった。

 彼とずっと一緒にいたいと思った。いられると思った。

 でも。

 彼は私を守ってくれた。

 いつもの、とおりに。

 彼の命と共に、私は再び『幸せ』を失った。


 それは、私の髪が再び長く伸びたころの話。

 私にはまだ、仲間がいた。

 でも、兄さんはいない。彼は、いない。

 私は、『幸せ』?

 分からない。だけど今は。

 私を「お姉さん」と呼ぶ少年の、小さな手を。

 ずっと握ってあげたいと思った。

 いつか少年の迎えが来るその日まで、ずっと。


 私は『幸せ』?あなたは『幸せ』?


 それは、未来へとつながるまだ終わりの見えない話。


                                           END

秋サンにいただきました〜戴きもの第一号♪
イリアの語りがとっても切ないです。。イリア〜!!!
心に言いたいことはあるんだけど、言葉が出てきません。
キャラの気持ちをこんなに上手く表現できるなんてすごすぎです。ありがとうございました。

BACK






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送